先日の記事で、エッセンシャルオイルの世界的検査機関であるAPRC(Aromatic Plant Reserch Center)のセミナーに参加したという話をしました。
その記事はこちら
⇒ エッセンシャルオイルの品質はどのように分析されているのか
その中で、精油成分単体とエッセンシャルオイルを嗅ぎ分けるという貴重な体験をしました。
リナロール単体 vs ラベンダー、
リモネン単体 vs オレンジ、
α−ピネン単体 vs フランキンセンス、
シトラール単体 vs レモングラス。
リナロールは、ほとんどのエッセンシャルオイルに含まれている精油成分です。
ラベンダーより含有量が多いものもありますが、よく使うのはやはりラベンダーなので、なるほどという感じでした。
リモネンは柑橘系のエッセンシャルオイルに7割〜9割以上含まれている成分です。
でも、実際にリモネン単体を嗅いでみると、レモンやオレンジやグレープフルーツなど、各精油成分を特徴づけている香りは、実は残りの1割以下の成分のように感じました。
α−ピネン単体は、木の腐ったような悪臭!!
α−ピネンは樹木系のエッセンシャルオイルに入っている成分ですが、単体だとこんなに臭いとは!!
でも、落ち着いて考えてみると、確かにフランキンセンスに入っている香りでした。
これが、他の成分と混ざるといい香りになるのですから、嗅覚というのは不思議ですね。
そしてシトラール。
シトラールは、ゲラニアールとネラールが混ざっているものです。
なぜ混ざっているかというと、シス-トランス異性体という関係なので分離できないのですね。
混合物から単体を分離するというのはとても難しい技術なのです。
シトラール単体をかいだ瞬間、「レモングラスだ!」と思いました。
ところが、そのあと本物のレモングラスを嗅いだら、なんだか物足りなく感じてしまいました。
この体験から思ったことは、市販のエッセンシャルオイルに混ぜ物がしてあっても、私たちは何の疑問も感じないのではないかということです。
むしろ、特徴成分を添加して際立たせることによって、より本物っぽくなるのでは、と思いました。
香りの成分は分子が小さく化学構造もシンプルなので、簡単に人工合成できます。
それこそ、高校生の化学実験で簡単に理科室で合成できます。
私は高校の教員をしていた時に、そのような生徒実験をしていました。
湿布の成分であるサリチル酸メチルは有機化学の実験の定番ですし、バナナやストロベリーの香りも有機溶剤から簡単に作れます(^_^;)
安価な人工物を混ぜて本物っぽく見せかけ、高値で売るという悪徳業者が実際にいるそうです。
APRCという機関は、さまざまな会社の製品を分析して、そういった混ぜ物がしてあるかどうかを調べる第三者機関で、残念ながら実際にそのような事実は多くあるとのことでした。
本物を知らなければ、それが本物かどうかの判断はできません。
私は自分の子育てをする時、できるだけ本物の体験をさせようと心がけてきました。
なぜなら、本物を見分けるには本物を知る必要があるからです。
これは以前、ダイヤモンドの話で記事を書きましたね。
なにごとも、正しい情報をもって、適切に判断したいものですね。
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