香りの記憶と魂の関係

嗅覚は、五感の中でも特別な感覚です。

まず、香りを感じるしくみが他の感覚と異なります。

香りは空気中に存在する揮発性の化学物質です。

それが鼻の粘膜にある嗅上皮細胞の受容体に結合すると、嗅神経が興奮し、刺激が脳に伝わります。

このとき刺激を受け取る場所が、大脳辺縁系の扁桃核という部分です。

大脳辺縁系は、本能や情動に関わる部分です。

なぜなら匂いというのは私たちの命にも関わる情報だからです。

例えば、食べ物が腐ると変な匂いがします。

その匂いで、食べられるかどうか判断しますよね。

特に野生動物は嗅覚が発達しています。

数キロ先から外敵や獲物の匂いを判断できる動物もいます。

それほど、匂いと生命活動は密接な関係があるということです。

このように、嗅覚は五感の中で唯一、本能をつかさどる大脳辺縁系に直接つながっているという特徴があります。

 

 

実は、大脳辺縁系は感情を支配しています。

扁桃核が壊れると怒りっぽくなるそうです。

このように、香りと感情をコントロールする部分は同じなんですね。

だから、香りと感情は密接な関係があるのです。

 

さらに、扁桃核の近くには海馬と呼ばれる記憶中枢があります。

ですから、香りと記憶も密接な関係があるのですね。

アロマテラピーが認知症に有効であるとの報告もあります。

 

また、香りそのものを記憶することもできます。

なぜなら、自分の身を守るために必要だからです。

だから記憶中枢と嗅覚中枢が近いところにあるのでしょう。

香りの記憶は、生まれてからの記憶だけでなく、魂の記憶もあるようです。

私たちのDNAに刻み込まれている香りの記憶。

なんとなく好きな香り、懐かしい香りがあるとしたら、それは前世の魂の記憶かもしれません。